みなさん、こんにちは!
ベルリンも季節の変わり目、雨や風が強い日やお天気な日など いろいろですね!
らせん舘のいるパンコウのマヤコフスキーリンクはとても静かなところですが、鳥たちのおしゃべりは賑やかです。
さて、「サンチョ・パンサ」の旅はバルセロナからマイアミへと続けていたしました。
マイアミはチリの演劇祭を観た制作者が国際演劇祭に招聘してくれました。
大変良い新聞評が出ました。
エル・ヘラルド新聞マイアミ
ノルマ・ニウルカ記者
2003年6月13日
日本の詩的ゲーム
舞台に絵画が映し出され、それがすべてに関わっていく。全九場の各場、合計九のスライド。ふたりの女優がおどろくべき緻密さで映像を肉体化させ、その分を創っては壊しまた創り直す過程で、エネルギーの奔流が、冒険の味が、観客を襲うだろう。
とにかく話す。日本語で、ドイツ語で、スペイン語で。
ある言語が別の言語になり三つ目の言語が続くが、全体がまるでひとつのエスペラント語だ。
セリフは複 数の言語なのに観客は気づかない。これがセルバンテスの『ドン・キホーテ』に創意を得たこの作品で国際ヒスパニック演劇祭に参加した日本代表の劇団らせん舘の繊細かつ強靭な舞台のパワーだ。
ドイツで結成され世界を回るこの劇団のメンバーは日本人である。
日本とドイツ詩人・小説家・劇作家の多和田葉子作『サンチョ・パンサ』は、ドン・キホーテの従者の物語ではなく、人生の意味の模索、時間をめぐる大胆なコンセプト、普遍的な表現のかたちである。
俳優たちがみせてくれるのはこの上なくリスキーな冒険ファンタジーで、冒頭幼子イエスのふたりの母が聖母マリアに世界遍歴の最中この子をお守り下さいと頼む。
ふたりは〈悪をくじくために〉見知らぬ土地をめぐり、九つの場はめまぐるしい出来事の連鎖、夢にみた旅は不可能であり、踊ること読むこと考えることが
最良の代替であるとの確信に達する。
象徴と教訓がユーモラスかつまじめに語られる。ドン・キホーテは風車との戦いのように、奪われた太陽を取り戻す手伝いをしてくれるなら島をやろうとサンチョに約束する。
行き着いた先はヒロシマ、島はアメリカだ。
テキストにも舞台にも、複数の文化が融合ではなく挿入される、そのさまは比類
がない。演出と演技は基本的に東洋的だが、舞台のあらゆる面で東洋的なるものと西欧的なるものの特徴が並置される。
言葉は二重に解体される。単語のリズムの破壊と、カステリャーノ語を強調することによってだ。
演出の嶋田三朗は音楽家でもあり、終始舞台であの手この手で音楽を奏でたり音を鳴らしりして、俳優の動きのリズムと時間と重要なニュアンスを刻んでゆく。
九場すべてに関わり、その厳密さは並外れているから、ふたりの女優はたえず集 中力と創造性を失わない。
サンチョ役の市川ケイとドン・キホーテ役のとりのかなはすぐれたテクニックの持ち主、どうやら歌舞伎のエキスパートのようだ。かろやかな身のこなし、よく訓練された声、集中力が舞台をパーフェクトなものにしている。
歌う、踊る、回転する、跳びあがる、衣装を着る、脱ぐ、鳥のようにさえずる、
とりいかなはアコーデオンさえ弾く。ふたりが水を飲み、たがいの体の匂いを嗅 いで入浴する場面(女の肌は世界でいちばん丈夫な甲冑で、「はだかの女の肌を
着ていればこわいものはありません」とドン・キホーテが言う)の密度の高さには 目を見張るものがある。
スクリーンにゴーギャンの絵が写るとふたりは画家が大きく描いたタヒチの女の足の話をする。それから床に寝そべり脚をあげて足先で会話をする。対話はさま
ざまな方法で可能だという証明だ。
この舞台は演劇の一種、音とリズムとしぐさと言葉の演劇である。
天才作家と感性豊かな演出家兼音楽家、途方もないふたりの女優のコラボレー
ションによって、公演日を増やすべき芸術作品が生まれた。現時点でらせん舘の 『サンチョ・パンサ』は演劇祭の驚きである。偉大な、心地よい、美しい驚きで
ある。
6月の公演予定
多和田葉子作「舞台動物」の公演前の研究会
*その一部上演とディスカッション*
6月27日(金曜日) 18時
森鴎外記念館 Raum2
Luisenstr.39, 10117Berlin
Tel 030-282-6097
Fax 030-281-5068
Eintritt frei/入場無料
みなさまのお越しをお待ちしています。
多和田葉子さんも参加してくださいます。
Sommerfestes、独日協会にてMusik und Tanz
6月28日(土曜日) 17時15分
Clubhaus der Eteien Universitaet
Gorthestr.49
14163 Berlin
劇団 らせん舘
