ベルリンの幼稚園


入園式と入園日

 ドイツの幼稚園は学校と同様、晩夏から秋にかけてが入園シーズンです。5月頃に入園が決定し、入園以前に懇談会が開かれます。クラスと担任の保母を紹介され、そこで1日や季節、また1年を通してのカリキュラムについての説明を受けます。
 その年の新入園児が多数いる場合、一度に入園させ、朝、親離れが出来ず泣き出す子どもの対処に追われ通常の授業に影響を及ぼすということを避けるため、少人数ずつを1週間ずつずらして入園させ最初の1−2週間は、1日目30分、2日目1時間と保育時間を伸ばしていき、順に幼稚園に慣れさせるという方式をとっている幼稚園も多く、従って入園式はありません。


保育時間

 保育時間は幼稚園によってまちまちですが、午後の保育も行なっているキンダー・ターゲス・シュッテッテの場合、保育時間は7時から17時までのところが多いようです。幼稚園のプログラム自体は9時から13時までとし、子どもたちは家庭のスケジュールに合わせて朝7時から9時までのあいだに登園し、9時からプログラムに参加し、昼食を済ませた13時からはお絵かきや読書、お天気の良い日は庭で遊ぶなどして、15時以降のお迎えを待つといったパターンが多いようです。なお、幼稚園は義務教育ではありませんから、旅行や親の都合での欠席は自由ですが、集団生活の秩序を学ぶためにも1日のカリキュラムが始まる前までに時間厳守で登園することは望まれます。


園内と施設

 園内の施設も幼稚園によってまちまちですが、キンダー・ターゲス・シュッテッテの場合、教室やトイレ、洗面台の施設のほか、大きいところでは独自のキッチンや庭、体育室などを持っています。独自のキッチンを持つ幼稚園では毎日昼食がそこで作られますが、公立幼稚園などの昼食は給食センターからの配送が多いようです。
 水泳の授業を取り入れている幼稚園は保母が引率して市民プールに通います。
 遊び場のついた庭を持っていない幼稚園では保母が引率して近くの公園へ向かいます。


通 園

 プライベート・スクールの幼稚部などの特別な施設を除いて、バスの送迎などはありません。徒歩、車、または自転車で、それぞれが親に連れられて登園します。冬の雪の積もる日などは、親の引くソリにまたがってやってくる子どもたちの笑顔も見られます。


制 服

 プライベートスクールの幼稚部を除いて、ドイツの幼稚園には制服はありません。みんな親の好みを反映したようなさまざまな格好で登園してきます。ドイツは冬が厳しいので、冬は女の子もズボン姿が目立ちます。体育や水泳などの授業を持っている幼稚園では体操服や水着などを持参しますが、これも制服のように決まってはいないので、それぞれが選んだものを袋に入れ持ってきます。
 冬の間、長靴やブーツを使用するので、園内で過ごすための上履きを使用するよう指示が出ますが、サンダル履きになる夏には上履きを持ち帰るようにと通達する幼稚園もあるので、そういった点は日本とは考えかたが少し違います。


幼稚園のお休み

 幼稚園のお休みは、ミニ・クルップを除く多くの幼稚園が土・日・祝日とベルリンの小学校のクリスマス休暇およびベルリンの小学校の夏休みのうちの3週間としているようです。また、祝日と週末の間に平日が挟まる場合などは状況によってはお休みになる場合があります。各幼稚園それぞれの規定があるので確認が必要です。また、小学校で実施されているヒッツェフライは幼稚園では行なわれません。なお、幼稚園は義務教育ではありませんから、旅行など家庭の都合でお休みを取ることは自由です。小学校に上がると出来なくなるので、そういった機会は存分に使うようにと、むしろ勧められます。ですが、気まぐれで休ませることは避け、お休みするときは前もって保母に伝えましょう。


保育料

 保育料は、民間企業経営の私立幼稚園およびプライベートスクールの幼稚部、またミニクルップではそれぞれの料金制度が設けられていますが、その他の幼稚園は役所の設定している料金体系に基づきます。両親の所得、通園する子どもが第何子に当たるかで金額はまったく違います。


給 食

 給食は、午後の保育もやっている幼稚園にのみあります。キンダー・ターゲス・シュッテッテで独自のキッチンがある場合は調理師が毎日そこで作りますが、公立幼稚園などの昼食は給食センターからの配送が多いようです。
 多くの幼稚園では1週間のメニューが廊下に貼り出されています。カトリック系の幼稚園では金曜日はカトッフェル・プッファーやミルクライスなど、肉を使わないメニューになっていることもあります。アトピーなどアレルギーを持つ子どもには別メニューが用意されているので前もって交渉する必要があります。
 また、ドイツにはツヴァイテ・フリューシュテゥック(第二朝食)という習慣があり、ドイツの子どもたちは、ちいさなお弁当を持って通園し、午前中に設けられている朝食に時間に食べます。このお弁当の内容は、簡単なサンドイッチだったり、ヨーグルトだったり、人参だったり、ひとそれぞれですが、チョコレートやお菓子などの持参は好まれません。


保育内容

 保育内容は幼稚園によってまったく異なりますが、あるキンダー・ターゲス・シュッテッテの1日をここにご紹介します。

おおきなながれ
9時まで 登園。子どもたちはお絵かきなどをしながら1日のカリキュラムが始まるのを待つ。
9時 モルゲン・クライス(朝のお遊戯)。大きなルームで生徒全員が輪になり、季節の歌を歌ったりお遊戯をする。この日お誕生日の子どもがあると、部屋を暗くし、年齢の分のろうそくを灯し、みんながお祝いの歌を歌う。
9時半 フリューシュテゥック(朝食)。部屋に戻り持参したお弁当をひろげる。飲み物は幼稚園で用意されている。
10時―12時 季節の工作やその他のカリキュラムをこなす。
12時すぎ 昼食。食後歯をみがきトイレに行く。
13時 お昼寝組と起きている組に分かれ、お昼寝組みはお昼寝ルームに向かう。起きている子どもたちは、保母の朗読に耳を傾けるなどして静かに過ごす。
15時 おうちのひとが迎えに来る。 17時までいる子はお絵かきやレゴ、積み木をして過ごす。

この幼稚園のカリキュラム
月曜日 体操。外注の体育の先生がやってきて授業を行なう。
火曜日 音楽。専門の音楽講師がやってきて音楽授業を行なう。
水曜日 木曜日の朝食は幼稚園から出るのでその素材を買いにいく。近くの青空市場にグループごとに分かれ卵1パックやパンなどといった与えられた課題を果たす。
金曜日 子ども礼拝。プロテスタント系なので礼拝がある。
単発

・ 子ども劇場 良い催し物があるとクラスごとに出かける。
・ 社会見学  ベルリン交通局や警察など。
・ 歯磨き講習 衛生歯科医が定期的に幼稚園を訪問し、
          歯の磨き方を講習する。
・ お誕生会  お誕生日の子どもがクラスの子どもたちを家庭に招待する。
          保母が子どもを引率して訪ね、保育時間をそこで過ごす。



宗教的催事

 幼稚園での宗教的催事は、大きくクリスマスとイースターに関してはどこも行われているようです。またキリスト教系の幼稚園では保育時間内に子ども礼拝があったり、年に何度か行なわれる教会のファミリー礼拝に幼稚園から参加し、賛美歌を披露したりということもあります。